Amigos No.87-3
2009年6月

わくわくドキドキ リマ日記(1)

山田 恵美

*驚きと笑いの生活*

 2年程前、ペルーに到着した時は、空港のお出迎えでサプライズ!って、ただの遅刻です、遅刻。深夜の空港で40分待ちぼうけ。あの頃はただマチュピチュからの列車内で 待つことしか出来ませんでしたが、今では1人でタクシーに乗り、帰宅できるようになりました。それは私自身が言葉や習慣がわかってきたというだけでなく、ペルー自体が徐々に安全で暮らしやすくなってきたからだと思います。
 街は2008年11月に開催されたAPECのお陰もあり、道路のあちこちにあったに穴がなくなり(道路に穴ですよ、穴!)、快適になりました。街角に24時間体制でいた、市の警備員がいなくなりました。安全になってきたということなのでしょう(財政難なだけかも??)。そして食材。なかなか手に入らなかった“ひき肉”が簡単に買えるようになり、“豆腐”もわざわざ市場に行かなければならなかったのが、近所のスーパーで売られるようになりました(値段はちょっと割高です)。日本で修業してきたという台湾人の方がパン屋をオープンし、おいしいケーキや菓子パンが手に入るようにもなりました。
 ビオレ製品が高級化粧品のように売られ、マルちゃんのカップ麺が売り場に並び、シャンプーのPantene(パンテーン)はパンテーネ、Kentuckyはケントゥッキーと発音され、でも飲み物の“7UP”はセブンアップ…(これらの違いは不明)、ヘレナ・ルビンスタインの看板を掲げている美容院ではロレアル製品が使われ、こちらでの生活は、驚きと笑いでいっぱいです。

*運転手のラファエル君*

ラファエル君  私の運転手のラファエル君の話です。 気のいいおじさんだなぁと思っていたら、実は年下だったラファエル君。車が大好きで、普段はタクシー運転手をしているラファエル君。年末、奥様に離婚をされ、車は没収、Tシャツ1枚だけで家を追い出されたものの、新年には父親から新しい(っぽい)車を買ってもらいウキウキ。が、1ヶ月もしないうちに強盗に遭い、命以外のすべてを奪われました。まだまだ犯罪は身近に起こっていますが、早朝や深夜を避け、危ない地域を避ければ、大丈夫なようです。





*きれいな 服はNG…でも…*

 外出の時は時間やルートを変え、キレイな格好での外出は避けるよう聞いていたので、それらのことを忠実にしていたら、夫から、「洋服、もうちょっとキレイにしたら?」と言われてしまいました。そしてある日、大きな衝突音がしたので、窓から覗くと車の衝突事故。様子を見に行こう!と、ジャージから着替え、外に出た私をみて夫が一言、「着替える前の方がマシだったかも…」、と。
 確かに、裾の長いTシャツにスパッツ姿は、限りなくパジャマに見えるかも。でも、現場に着くと、よれよれのTシャツだったり、穴の空いた上着を着ていたり、それってバスローブ?お風呂上り?みたいな人がいたお陰で、私は普通かも??と勘違いできるくらい、まったく目立ちませんでした。事故はたいした事もなく(車は横転していましたが)、洋服もたいした事ではなく、どちらも、あぁーよかった、よかった。


*外国人登録証取得てんまつ記 *


 ペルーへ来る前、VISA取得のため、東京のペルー領事館へ出頭した時のこと。同行してくれた旅行会社の人にVISAの有効期限を聞いてもらいました。
 「このVISAで、どのくらいの期間、滞在できますか?」と。すると窓口のお姉さん「すごぉぉぉーく、な・がぁ〜く」と教えてくれました。なんて素敵な国へ行けるのかしらと、とても嬉しくなりました。
 それからペルーへ到着して10日後、旅行会社のファルコンさんに連れられ、外国人登録証を作りに行った時のこと。建物の前には、すごく長い行列が。これは時間がかかるだろうなと覚悟していたのに、ファルコンさんはどんどん進み、かなり前まで行き、はいここ、と割り込みました。横入りをしたのに周りの誰も怒らないし、ペルーの人はおおらかだなと思っていたら、ファルコンさんは後の男性にお金を払い、受け取った男性は列から外れていきました。どうやら、並び屋のバイトを雇っていたようです。色んな仕事があるものです。
 難なくあっという間に中に入ることができましたが、手続きには時間がかかりました。ファルコンさんはどこかへ行ってしまいました。そして、何度目かのファルコンさん不在の時に名前を呼ばれたので、窓口へ行ってみると、1階の銀行で20ドル払ってきてから戻ってくるようにと(たぶん)言われた。パスポートを大量に持った代理人と思われる韓国人(たぶん)のお兄さんが、一緒に1階へ行こうと連れて行ってくれました。ファルコンさんの所へ連れて行ってくれるのかと思い、ついて行ったのに、到着したのは銀行の窓口。挙句、僕は他に用事があるからと、どこかへ行ってしまいました。
 US$は持っていないし、ファルコンさんには確か「ここで待っていて」と言われていたので、元の場所に戻り、暇つぶしにスペイン語の辞書でも見てみようかしらとモゾモゾしていると、5,6人が寄ってきて騒ぎ出した。何を話しているのかまったく分からず、オロオロしていると、またもや1階の銀行へ連れて行かれそうに。断っても、断っても手を引っ張られ、1階へ誘われた。面倒だから1階へ行こうかな?と思い始めた時、ようやくファルコンさん登場。今までいた5,6人はさぁ〜っと離れていき、一安心。なぜ囲まれたのだろう?と思っていましたが、まず日本人が珍しいらしく、注目されていたらしい(たぶん)。そしてオロオロしていた私を、助けようとしてくれたらしい(たぶん)。
 ペルー人は、基本的に親切だと分かって、ホッとした日でした。そうして受け取った身分証明書を見るたびに、なんて素敵な国へ来たのかしら!と、嬉しくなった日を思い出します。

(つづく)。

やまだえみ:大阪出身の主婦。リマ在住。
挨拶と1から10までのスペイン語”だけ”を覚えて、夫の仕事でペルーへ乗り込み、はや3年目。ペルーの方々の素晴らしい想像力と理解力に支えられ、楽しい毎日を過ごしています。そんな素晴らしいペルー、素晴ら しい人々、そして素晴らしい出来事を、お伝えしていきたいと思っています。


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