Amigos No.121-2
2018年12月


算数ドリルと絵本の配布活動報告 U


オチャンテ ロサ

 6月発行のAmigosNO.120では4つの学校のうち、マンチャイの学校の報告のみ行いました。ここで3つの学校の報告を行わせていただきます。

Colegio Macías Rímac: リマック学校

リマック 今年もリマ市の旧市街にある「リマック」を訪問し、校長と教頭先生に迎えられました。 校長室で学校の様子をお聞きし、続いて子どもたちの教室を見学して、算数ドリルを配布しました。
 学校は前に比べると綺麗に施設が整っていました。教頭先生と教室に入って、担任の先生とゆっくりお話して、 CALOの活動についても報告し、常に学校からの情報が必要ですとお願いしました。
 子どもたちもCALOの算数ドリルを覚えていました。教頭先生から算数ドリルの必要性についてお聞きしました。 少しずつではありますが、教員同士で算数ドリルの使い方を理解し関心を持てるようになってきていのではないかとおっしゃいました。 学校全体の雰囲気は良くなっていますが、やはり周辺の環境は変わらずよくなく、旧市街の昔の美しい建物の管理や整備がされていなく、 ペルー人として、寂しく残念な気持ちになります。
 リマのスタッフである、ジャネットさんは、学校にはインターネットや電話番号がない所もあるので、 学校との連絡が難しいと話していました。学校から何の反応もない場合、 算数ドリルの支援を中止するか削減するかを考えた時期もありました。しかし、子どもたちの様子を見ると、 CALOの算数ドリルが唯一彼らの刺激、意欲を高める教材であるのではないかと改めて実感しました。今後絵本を多めに配布し、 教員らとの連携を取っていけたらと思いました。

Colegio de Independencia インデペンデシア学校

インデペンデンシア  いつものように私たちのことを待っていてくださり、素晴らしい歓迎式を開いてくれました。この学校を訪問すると、 校長、教頭、保護者と子どもたちの愛情や感謝の気持ちが一つになったような感じがします。 子どもたちの歌声、ダンス、手作りのプレゼント、ペルーの飲み物や軽食の準備までして下さいます。 子どもたちからも全ての教室に回って欲しいと声をかけられましたが、 時間の関係で各学年を一つ代表して絵本の読み聞かせを行いました。
 絵本の読み方、算数ドリルを使った授業にも参加して、先生たちが教材をうまく活用していること、 子どもたちの中では、CALOの算数ドリルを受けとること、毎年もらうことが深く根付いていることを改めて考えさせられました。
 校舎が益々発展していましたが、入学希望者が多く、教室は足りない状態にあります。 また2年前からベネズエラからの移民を受け入れるようになって、今各クラスに3人から4人のベネズエラ国籍の児童生徒いる状態です。 ここ数年、ベネズエラ共和国の独裁政権、物資不足、貧困からの脱出のため、周辺国のコロンビア、エクアドル、 チリそしてペルーに良い暮らしを求めて移民をしています。今まで、ペルーにはパスポート(旅券)がなくても、入国を認められ、 支援をしていたが、入国者数が急増して、ペルー政府は入国管理を厳格化し、受け入れをコントールしようとしています。 もうすでにペルーに入国した人々に就職を確保するための支援、子どもたちもペルーの公立学校に通えるようになっています。 同じスペイン語であることや、文化的、 宗教的に似ている国であるため子どもたちも元気そうに学校に適応してきていることが伺えました。
 インデペンデンシア学校が大きく発展してきている理由には、学校と保護者がうまく連携していること、子どもたちのためを思って、 親が力を合わせて、教室作り、支援に励んでいます。
 算数ドリルの有効活用のため、教員ら同士で研究しあったり、絵本を借りるための図書館が管理されたり、 CALOからの贈り物を最大限に活用してくれていることをとても嬉しく思っています。
 CALOの皆さんに会いたい、来年も待っていますと子どもたちの元気な挨拶に責任感を感じ、 日本でも資金集めを頑張らなければと強く思いました。

Colegio de Comas コマス学校

コマス  ここでも校長先生をはじめ、先生方、子どもたちがCALOの算数ドリルと絵本を毎年楽しみに待ってくれているところです。
 長年お世話になったロサ校長先生も今年で定年を迎えられ学校を離れることになるそうです。とても寂しい思いですが、 CALOの活動は教職員の中にも根付いているので安心して大丈夫ですと言われました。 また次期校長先生にもCALOの活動を報告しますと継続できるように協力くださると言われました。
 ここでも子ども達の入学申し込みが殺到し、教室が足りない状態にあります。ロサ校長先生が色々な知恵を使って、 ペルーリマ市の教育委員会のあらゆる支援金に申し込み、少しですがお金が入ったので、 CALOが数年前建てた教室の上に新たな教室を作っていました。しかしまだ完成していなく、窓やドアがない状態でした。
 ここでは、やはり校長先生や教員の努力がとても感じられますが、まだまだ生活困難地域であるため、 制服が買えずに、普段着で登校している子どもたちも多く、また移民の子どもたちの受け入れや、 統合教育にも取り組んでいるため、様々な障害のある子どもたちが学べる環境へと支援をおこなっています。 経済的に厳しい家庭が多いように感じました。地域の発展もあまり感じられないのも残念なところです。 しかし、校長先生をはじめ、教員らの力、子どもたちにさらに良い教育を受けさせたい気持ちが強いように思いました。 制服や教材を揃えられない、買えない子どもたちにとって自分で所有できる算数ドリルが貴重な道具になっています。 絵本の読み聞かせ行ったところ、特別支援対象の子どもが絵本に興味を示し、 目を輝かせてカラフルな絵本をずっと手に持って読んでいました。 他の子どもたちや先生が彼女を理解し、優しく接しているのを見てとても心が温まりました。
 様々な国籍やスキルをもった子どもたちが同じ環境で勉強して、先生たちの目配りや優しさに毎日ふれ、 経済的に困難があっても幸せな学校生活を送っているように感じました。
 こうして、今年もCALOの算数ドリルを無事に配布することができました。 これも毎年寄付して支えて頂いている方々のおかげだと思っています。 ペルーの子どもたちに最高のプレゼントを与えて下さっています。
 子どもたちの夢を叶えることが難しい場合もありますが、 その夢に近づけるために教育という道具を与えることができると思います。 CALOは彼らに幸せの鍵を与えているのだと確信できました。教育は全てではないけれど、 教育を受けることによって生きる力も与えていると思います。知恵、知識は色褪せず、 私たちが与えることができる最高の遺産であります。皆様一人一人に心から感謝しています。 引き続きCALOの活動のご理解ご支援をよろしくお願い申し上げます。


卒業生との再会2

ヘンリー、エリカさんとロサ(筆者) 2015年度卒業生の二人は、 C「ヘンリー ビジャヌエバ パノッカ」さんとD「エリカ パリオナ コロス」さんは、 ペルーでは工学部の最先端だということで大変人気のある「国立工学大学」 (Universidad Nacional de Ingieneria)、と「UNI大学」で工学部を専攻しています。厳しい倍率を突破し、 自信に溢れる姿はとてもかっこよく、嬉しい気持ちになりました。
現在、マンチャイの「ビルヘン デル ロサリオ学校」の卒業生8人がこの大学に入学して頑張っています。 今のペルーの大統領「マルティン・ビスカラー」氏もこの大学の卒業生です。 今後マンチャイからペルーの大統領が出るのも夢の話ではないと思います。
 ヘンリー君は電子工学 (エレクトロニクス・メカトロニクスエンジニア)を専攻していて、入学して2年目です。近い将来留学して、 専門的な知識と技術を学んでいきたいと語ってくれました。「優秀な学生が多いけれど、ペルーでは、 メカトロニクスエンジニアの技術が遅れていて、能力を伸ばせなく、最終的に電気工学として働くことになるので、 非常にもったいないです。」そのため彼は海外に出て、技術を伸ばし、海外で経験を積んでからペルーに戻り、 会社を設立したいと夢を熱く語ってくれました。
 エリカさんは今年大学に入学したばかりで、土木工学を専攻しています。 「大学をいい成績で卒業し、仕事として様々な建設プロジェクトに関わり、大きな建設のプロジェクトを担当したいです。 そして、今まで支えてくれた両親の助けになりたいです。彼らのサポートなしでは、何もできなかったと思います」 と語ってくれました。
 二人は1時間半から2時間かけて大学に通っています。1限目は午前7時から始まるので、朝5時に家を出て、 夜に帰るという生活をしています。
 2015年卒業生3人(前号に記載)は私立大学に通っています。しかし、 中等教育5年間を優秀な成績で卒業しているため大学の授業料の免除が受けられ、 一般の学費より安い授業料ですんでいます。
 国立大学に通っている二人には免除はないですが、大学の給食費は無料などの支援があります。
 彼ら5人に、CALOの算数ドリルや絵本のこと覚えているのかと聞くと、みんな一斉に「算数ドリルを覚えている、黄色の、様々な色のカバーがあった」 と答え、逆に絵本のことはあまり覚えていなく、CALOの現地スッタフ「ジャネットさん」に確認すると、 彼らが学生の時にも絵本の配布は行なっていたけれど、数や種類が少なく、今に比べると読む機会はあまりなかったそうです。
 しかし、算数ドリルは「自分の本」となっていたため、記憶に残っていて、算数ドリルを受け取ったおかげで、 算数の力が上がったとか、算数が好きになった、教育的なもので政府の教科書より優れていたものだったなど語ってくれました。 また5年生の時にインタビューしたことや、サッカーボールを寄付してもらったこと等、笑顔を交えながら語ってくれました。
 彼らは、学校や教会のイベントで集まったり、またサッカーするために会ったりと交流をまだ続けています。 様々な大学や進路ではありますが、マンチャイの出身であるという誇りに思い、 マンチャイとペルーの発展のために頑張りたい気持ちが大きく、 しっかりした目標に向けて一つ一つ確かなステップを踏んで歩み続けています。
 CALOのことは今でも覚えていて、感謝の気持ちを皆さんに伝えるように「後輩のために支援を続けて欲しい」と言っていました。 今後も彼らの成長をみなさんに報告できるように交流を深め、毎年CALOの配布活動に関わるよう、 いつか活動メンバーとなって支援もできるようにと願って日本からサポートしていきたい思いです。






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