Amigos No.113-2
2016年3月
CALO
の算数ドリルで育ったかれらは今
『卒業生との面会』
ロサ・オチャンテ
約3年前、日本からのスタッフが学校訪問したとき、中等教育5年生だった卒業生にインタビューしました。(Amigos
NO.105:2013年12月発行)かれらのその後の進路について知りたく、あらゆる手段を使って卒業生を探し、
今大学生になっている二人の青年と面会することが出来ました。
マテオ君とクリスくんです。彼らは2013年12月に中等教育の5年生(高校2年)を卒業後、大学の入学試験のために、猛烈に勉強し、
昨年2015年に晴れて大学に合格し、1年目の大学生活でとても忙しくしています。そのため、彼らとの面会は、授業と授業の間の時間に行いました。
彼らの通っている大学のキャンパスに行ったので、勉強している環境も見ることができました。(2015年8月)
以下に彼らのインタビューを述べていきます。
マテオ ビジャヌエバ パノッカ君(18歳)
マンチャイ地区の「ビルヘン・デル・ロサリオ」学校の卒業生
で、
今Universidad Nacional de ingeniería“UNI”( 国立工学大学)で鉱山工学部を専攻しています。
彼の両親はペルーのアンデス地区出身で、彼は小さいときにマンチャイに移住しました。今は両親と弟二人でマンチャイに住んでいます。
:難関大学へ 2時間かけて通学:
大学へはバスで乗り換えをしながら2時間かけて通っています。帰りは渋滞等でとても疲れるため、できるだけ、遅くまで大学に残って勉強しています。
この大学では、朝食、昼食、夕食は無料で提供されていて、3食大学で食べているそうです。授業が終わるのは大体夜の8時過ぎで、
家に着くのは⒑時くらいになるそうです。ちょうど会った日に彼の18歳の誕生日だったけれど、授業はまだ8時過ぎまであります。
ご家族は家でお祝いの準備をして待ってくれていたそうです。
この大学は国立大学の工学専攻で高い評価を受けていて、色々な研究や実験がされています。倍率が高く、入学するのがとても難しい大学です。
そのため、合格したとき、親がとても感動して泣いていたそうです。国立なので学費はとても安いです。
彼は学期ごとで65ソレス(2千円)を払うそうです。教科書は自分で購入しなければならないけれど、
図書館があるので、とても助かっているそうです。彼のこれからの希望は、奨学金を受けてアメリカの大学に編入し、
向こうで修士を修了したいそうです。
:夢はアメリカ留学、国への貢献:
彼が目指している大学は「コロラド・スクール・オブ・マインズ」と言って、アメリカでは鉱山工学専攻でとても有名な大学だそうです。
その後、3年間向こうで働いて経験を得て、お金もためて、帰国をしたいとのこと。「自分の鉱山を持ちたい。自分の国に貢献したい」と語っていました。
次回CALOのスタッフがペルーに来た時はもう会えないかもしれないね!と冗談で伝えました。
中等教育の5年生の弟ヘンリー君もお兄ちゃんの姿に憧れ、同じ夢を追いかけています。「兄弟で会社を作りたい」と語ってくれました。
:憧れの先輩も算数ドリルで:
マテオ君自身も憧れる大学の先輩がいて、彼も同じ母校で小学校の時CALOの算数ドリルを使って勉強したそうです。彼は奨学金をもらって、
このインタビューの数日後に、留学するためフランスの大学に出発をしました。同じマンチャイ地区で、色々教えてもらったり、
本も貸してくれたりしたそうです。その彼のことをとても誇りに思い「いなくなるのが寂しい」と語ってくれました。
CALOの算数ドリルで勉強したマンチャイの母校から4人この大学で頑張っているそうです。
:CALOへの協力は小学校の友だちとの共通の夢:
3年前、彼に会った時、他の生徒たちもいて様々な夢を語ってくれました。マテオ君の話によると、
何人かはマンチャイ地区の近くにある「サン・イグナシオ・デ・ロヨラ大学」という私立大学で勉強をしたり、
また入学試験のため準備に頑張っているそうです。たまに日曜日サッカーの試合をしたり、教会で会ったり、
また、母校の行事に参加する時に会うそうです。
カトリック校である母校での勉強はどうだったのと聞くと、「小中学校では、基本的な勉強を受けました。
その後、予備校でも色々勉強したけれど、それより、学校から受けた価値観の形成がとても大切であると感謝しています」。
3年前会った時、CALOの状況を説明していたけれど、今回も、CALOが続けて多くの子どもたちに算数ドリルと絵本を配布できるように、
多くの人の協力が必要だと伝えました。そして今は難しいかもしれないけれど、将来、卒業生の協力が楽しみですとも伝えました。
これに関して彼は、「CALOへの支援することは友だちと一緒に共通している夢です。私たちは非常に恩恵を受けましたから、
この活動はここで終わってはなりません。私たちはこれらの本を楽しんできたからです」と。
:「算数ドリル」の思い出… 最高の思い出:
算数ドリルを使ったのは、もう大
分前であるけれど、覚えていますかと聞くと、「最高の思い出を持っています。
論理的で分かりやすい説明があって、非常に特別な物でした」と語りました。
「今でも持っています。青色で表紙に子猫が紙飛行機に乗っているのがあったね」と嬉しそうに思い出していました。
算数ドリルはためになったのと聞くと、「そう思います。非常に教訓的で、4年生だったかな、算数が好きになって、
算数への興味を目覚めさせる助けとなりました。それで今こういう理数系の大学にいること、
数学への愛を感じることはCALOの算数ドリルのおかげだと思います」と語ってくれました。
「私は梶田さんと他のCALOのメンバーに感謝しています。その偉大な仕事、その大きな種は、今実を結んでいます。
とても助けられました。算数ドリルがなかったら、今私たちはこのおかれている場所にいなかったのかもしれない。
同級生に代わって、感謝の気持ちを申し上げたいです」と最後に感謝の挨拶してくれました。
クリス ミチェル クリソロ 君(18歳)
次に会ったのは、コマスの「ビゴスキ」学校の卒業生です。彼の大学構内へ会いに行きました。 ナショナル・フェデリコ・ビジャレアル国立大学で政治学と法学部でも政治学を専攻しています。 両親と姉、兄と一緒に生活しています。
:国立大学で政治学を学ぶ:
中等教育の5年生(高校2年)を卒業後、サンマルコス大学(日本の東京大学に相当する名門大学)を受験し、わずかな点数で不合格になったため、
姉が、「ナショナル・フェデリコ・ビジャレアル大学」系列の予備校に登録しました。
そこで5ヶ月間猛烈に勉強、毎日朝5時に家を出て予備校で頑張っていました。
予備校の成績上位の学生になると、入学が認められるシステムがあって、今通っている学科の1位で合格しました。
姉のアドバイスでこの大学で勉強することにしました。姉も兄も同じ大学に通っていたそうです。
:大学で無償の朝食、1ソル(30円)の昼食と夕食:
数学も好きで工学を専攻することも考えたけれど、政治や法学がとても好きで、政治学の勉強に決めたそうです。
一時間半くらいバスに乗って大学に通っています。大学では1年前から無償で朝ごはんを配布され、
昼と夜ごはんは1ソル(30円)で配布するサービスがあるけれど、食事の数が限られていて、
昼前の授業は入ると、もう並んでいる人が多くて、食堂で食べる時間はなくなるそうです。空いている時にたまに食堂で食べるけれど、
普段は自分で持ってきたりすることも。大学の授業は中等学校と同じ8時から1時までであるので、早く帰って家で食べたりもするそうです。
この大学は三部生、朝、昼、晩で学生が入れ替わります。さらに、1年生は朝の部、2年生から昼か夜の部でクラスの時間が変わったりします。
授業での課題が多く、いつも図書館に残ってレポートを書いたり、研究したりしています。また講演会やミーティングが多く、
毎日忙しくしているそうです。
:お母さんを楽にさせたい:
大学生活は順調に行っています。あまり目立つと、周りからからかわれたりすることもあるので(笑)、普通に勉強して、遅刻しないで、
課題を出して頑張っています。大学は好きです。国立大学で設備がよくなく、彼が通っている学部では、
マルチメディアの設備がよくなく教室が壊れていることもあります。しかし、授業料は高くはなく、
年に400ソル(1万5千円)を払うだけだそうです。
大学を卒業して、また別な専門職を持ちたいそうです。法学、または土木工学にも興味があるので、10年後には、二つの専門職を持って、
安定した仕事を持ちたい。お母さんは子どもたちのために、あまり勉強もできなかったので、母の夢を実現させたい。
「兄弟全員の夢だと思うけれど、お母さんを楽にさせたい。家とか買ってあげたい」と語ってくれました。
:「おおきなかぶ」の劇をしました:
姉は4年生から、兄と彼は1年生からコマス地区の学校で勉強し、CALOの絵本と算数ドリルを使いました。
「私は大きなかぶ、兄がぐりとぐらの劇をしました」と語ってくれました。絵本のことをよく覚えています。
『はらぺこあおむし』がよく食べていた話、ぐりとぐらの4つの絵本、
オオカミと7匹の子ヤギとか」と思い出したりしています。
:うれしかったCALOのサポート:
日本のメンバーにあなたのように頑張っている青年がいることを報告したいと伝えました。あなたもこれから、安定しだしたら、
またなんらかの形で協力してくれるとうれしいし、母校のロールモデルにもなることも伝えました。
「当時の政府が配布していた教科書はとても貧しく、線を引くこともできなく、使いにくい教材でした。
その時、CALOの支援が来て、対話型で、読解力にとてもためになりました。また算数ドリルも教訓的で、自分の個別の教材で、
将来のために非常に重要なもの、勉強するための教材をプレゼントされているような感じです。
今でもあの頃の算数ドリルを持っています」と語ってくれました。
私から「それを聞いてとても嬉しい。あなたのように頑張っている卒業生がいる。それを子ども達に見せたい。
あなたは親の理解と協力を受けたけれど、それさえない子どももいるから」と話しました。
これに関して彼は、「当時、とても厳しいときでした。社会的な貧しい家庭を見るのが普通でした。
支援を受けることは非常に困難だったため、CALOのサポートはとても嬉しかったです」と。
:貢献する機会があれば是非したい:
CALOの活動覚えていますかと聞くと、「ある日、学校の行事の日でCALOがバレーやサッカーボールを持ってきてくださった時があります。
本当なら、政府がやらないといけないことを自己利益なし、また恩恵を求めずに、CALOの皆がやってくれました。
子どもだったときはそこまで理解していなかったし、遊ぶことだけしか考えなかったけれど、大きくなって、色々考えて、
それらのことを思い出して、とても嬉しくなります。そしてとても感謝の気持ちをもって、貢献する機会があれば是非したいです」。
と嬉しいコメントでした。彼はコマス地区の学校の近くに住んでいて、3月は大学の休みであることが分かって、
次回のCALOの算数ドリルを配布するとき、ペルーのスタッフジャネットさんと一緒に参加すると言ってくれました。
先輩の彼から算数ドリルを受けとること、大学で頑張っている身近な存在に触れることで、立派なロールモデルになってくれると思います。
:将来のための大切なプレゼント:
こうして学校訪問と卒業生との面会を無事に終えることができました。頑張っている子ども達の姿を見てとても誇りに思いました。
そして、「大阪ラテンアメリカの会」CALOのメンバーであること、そして卒業生が言ったように、
少しでもこれらの子ども達に「将来のための大切なプレゼント」を渡すことができることをとても嬉しく思っています。
子どもたちの頑張り、先生たちの努力、そしてペルーと日本のスタッフ、寄付して下さる皆さんの優しさが一つとなって、
確かな実、目に見える結果が生み出されています。
様々な形でご協力して下さっている皆さんに心から感謝を申し上げます。そして続けてのご支援を願っております。
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