Amigos No.83-3
2008年10月

日本人リマに暮らす(3)

〜タクシー@ 無免許タクシー〜

岡田 勝美

 リマの公式タクシーは車体が黄色だ。だが、町で実際見かける黄色タクシーは全体の5%もないだろう。黄色ではないがタクシー会社として市民に認知されている有力な会社も数社あり、白い車体に“TAXI○○”と書いて走っている。 しかし黄色に、白の“TAXI○○”を加えてもせいぜい全体の20%もないだろう。圧倒的に多いのが、個人の自家用車を使った完全“もぐり”のタクシーだ。フロントガラスに“TAXI”と書いた紙を貼り付けたり、貼り紙の代わりに屋根に磁石でくっつける三角形の“TAXI”の表示を乗せたものもある。  この“もぐり”用の表示は主な交差点の角で物売りが売っているのでだれでもいつでも手に入る。 〜ということでリマには車の型式、色、古さ、大きさのまちまちなタクシーが縦横に走っている。ペルーもご他聞にもれず失業率は高い。大学の医学部を出ても医者になる道がなく、とりあえずタクシードライバーで生活するケースだって珍しくない。

リマの公式タクシー

自家用車といってもドライバー自身が車を持っているわけではなく、人から借りてにわか稼ぎをする者も多い。彼らは時間で車を借りてその間だけ走る。持ち主に車を返す時間が迫っているタクシーはガソリン切れ寸前の状態で走っている。もし多く入れすぎても返す時余ったガソリンは車の持ち主を潤すだけだから・・・。 ということで返却直前のタクシーに乗った客はたいてい途中でガソリンスタンドに立ち寄り、給油に付き合わされる。ドライバーは最後の客の目的地までギリギリのガソリンを補給する。急いでいるときはイライラするが、この国ではジョーシキだ。 急に道路からそれるので、裏通りにでも連れて行かれ金品を巻き上げられるんじゃないかと、初めてのときは一瞬不安になったりする。「おいおい、どこへ行くんだよ!」と思うがそんなことはお構いなしだ。

乗客は助手席に

料金交渉が成立すると客は助手席に乗るのが普通だ。2,3人になれば後部座席も使うが、まずは助手席が優先。 ただでさえ犯罪多発のこの国。男性はともかく、女性の一人の場合は悪質ドライバーだったら危険だ。よく一人客が辺鄙な場所まで連れて行かれドライバーに襲われるという新聞記事を目にする。 それにもかかわらずなぜ助手席に? その根拠はこの国の文化、旧宗主国スペインのヨーロッパ文化に由来するらしい。運転者の隣が最上席なのだ。その文化は日系社会の上層部にも受け継がれ、自家用車の場合でも複数人が乗車する場合は一番目上の人が助手席と決まっている。 面白いのは、自家用車で何人かをピックアップしていく場合、最初の一人は助手席に乗る。次に2人目をピックアップした時、その人の方が目上であれば、1人目が後部座席に移り2人目が助手席に座る。 こうして人が増える度、最年長者などが助手席を占める。しかし私には面倒この上ない習慣だった。 余談だが、この国に車の乗車人数の制限はない。何人でも乗れるだけ乗って構わない。グループでタクシーに乗るときは料金節約で思い切り詰め込んで乗る。助手席に2人は当たり前で、後部には折り重なって、人の膝の上に横になったり7〜8人だって乗ってしまう。 現地のテレビ番組の中で2チームがそれぞれの車に何人乗るかのゲームをしていた。助手席の2人の上にさらに詰め込む。後部は天井まで重なり合って合計10数人まで入った。実に面白かった。(つづく)

ありがとう!カルロス・デラクルス君

 2003年から毎年、CALOの「ペルー活動」に現地リマでドリル配布の協力をしてくれていた大学生、カルロス・アルベルト・デラクルス君が、9月25日に逝去されました。25歳でした。3年ほど前からガンで闘病されていました。それでも何か手伝いたいと、私たちがペルーに行く度に連絡して協力してくれていました。昨年も治療の副作用で辛そうだったのに、私たちのリマ観光につきあってくれました。いつも「ペルーの子どもたちにこんなにしてくれてありがとう」と言ってくれていました。そして、一度日本に行きたいというのが口癖でした。こころざし半ばでの別れに辛いものを感じます。カトリックの信仰の深い彼は最後に病院へ運ばれる時、胸に十字をきって行きました。とお母様のことば。ただご冥福を祈るのみです。カルロス、本当にありがとう。(梶田)


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