Amigos No.80-2
2008年4月
2008年3月1日に(財)箕面市国際交流協会で行われた、「第2回みのお地球市民セミナー」での講演に参加しました。講師は大阪ラテンアメリカの会《CALO》主宰者の梶田雅子さんでセミナーのタイトルは「箕面発、ペルーへ!」〜大阪ラテンアメリカの会(CALO)の取り組みから見えてきたもの〜であり、案内のパンフレットには、「自らNGO活動を立ち上げたいあなた、またNGO活動に参加してみたいと思っているあなた、経験者である梶田雅子さんのお話を聞き、将来に向けて視野を広げてみませんか?」と記されていた。
国際化という言葉が巷間聞かれて久しいがその意味するところは別として、この箕面市や豊中市の市民ホールでは英語はもちろん、中国語・韓国朝鮮語・フランス語・スペイン語など各国語を学ぶ公民館活動のサークルがたくさんあってなかなか活発なようである。そんな中で、ぺルー−絵本・算数ドリル−スペイン語の翻訳という一連のキーワードとイメージが色々な外国語を学んだり、また教えたりする人たちの中にかなり定着しているようだ。
阪大でフランス語を教えておられるある先生が『日本語の童話などをスペイン語に翻訳してペルーの子供たちに贈っておられるサークルが箕面にありますよ』とおっしゃっていた。梶田さんはそのサークルをもう13、4年も続けていて、この講演でも淡々と話されていたが、これだけ続けられるには当事者しか分からない苦労が多々おありのようであった。
梶田さんの活動は20年以上も前に始まっていたのである。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)で日本語を学ぶ外国人留学生のホストファミリーとして彼らを受け入れ、日本の家庭を通じてもっとよく日本を知ってもらおうとする活動に尽力したところから現在のCALOがつながっているのである。
梶田さんの周りにはラテンアメリカの留学生が多く、彼らとの交流の中から梶田さん自身が大阪外国語大学でスペイン語を習得する決心が生まれたのであった。そしてペルーの留学生の日本の教科書の美しさに関する羨望と感嘆の言葉がきっかけで、ぺルー−絵本・算数ドリル−スペイン語の翻訳というCALOのNGO活動が始まり今日に至っている。
だが順風満帆に事が運んだわけではない。資金の問題やスペイン語の翻訳スタッフなど、そのつど大きな問題を乗り越えていかなければならなかった。しかし"意志あるところ道は開ける"で、当時の駐ペルーの青木大使との出会いがあり、大使の勧めで外務省の助成金を申請し審査が通って事業が大きく前進する事ができたのである。
CALOは決して完成した絵本や算数ドリルを人任せでペルーの子供たちに配布するような事はしていない。現地スタッフと緊密に連絡を取り合って、毎年必ずCALOのメンバーが現地に赴き直接手渡しをしているのである。小規模であっても確実に"顔を見ることのできる"活動を行っている。またメンバーの多くは、月2回の例会でネイティブの先生にスペイン語を学び、言葉と行動を通して少しでも現地の子供たちに近づこうとしているのである。こんなところにも梶田さんの思いが表れているように思われる。
CALOの活動が一冊の本になっています。『ペルーの子どもたちに算数ドリルを!』−平凡な主婦がNGOを立ち上げた−(協同出版社)NGOに関心のある方の必読書としてお勧めする。
(小森 正次)
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