Amigos No.112-1
2015年12月

今年もCALOのキャンペーンにご協力を!

− 算数ドリルプロジェクト −

絵本を持って学校訪問

 CALOはこのプロジェクトとともに22年前に誕生しました。 それから一年も休むことなくペルーの小学校に算数ドリルを贈り続けてきました。 皆様のご協力のおかげで、その数は2015年12月現在91,025冊になります。生活困難地域の小学校5校に贈っています。 活動を始めたころ、現地の方々と探した小学校へ行って手渡したのですが、十分に使ってもらえなかったり、 ほかの生活用品や食料を頼まれたりして、なかなかこちらの意図する活動は軌道に乗りませんでした。 しかし、5−6年を経過したころからCALOの活動の意図を理解し、CALOの算数ドリルの有効な活用に力を注いてくれる学校がふえ、 感謝されています。同時に先生方からどうかこの活動を続けてほしいとの切実な依頼が届きます。 子どもたちにもCALOの算数ドリルは評判がよく、「大好き!」と言ってくれます。 AmigosNO.105でもお伝えしましたが、卒業生たちもこの算数ドリルがあったから自分たちは勉強することが好きになった、 どうか後輩たちにも続けて配布してほしいと言ってくれています。
 会員制を廃止し、寄付だけでこの活動を維持することにしています。 こうして、一年に一度の「キャンペーン」をして、 クリスマスプレゼントやお年玉としてペルーの子どもたちに寄付をしていただくことを呼びかけています。
 例年、12月にドリル発行会社に発注するのですが、今年はそれだけの繰越金がないため、 このキャンペーンでの皆様のご協力をお願いいたします。

(寄付についてはこちら)



こんなに活用! さんすうドリルと絵本

- ペルーから、CALO活動の確認と報告 -

ロサ オチャンテ(CALO副代表)

 今年の夏3年ぶりに帰国し、CALOが支援しているリマの学校を訪問することができました。
  今回は算数ドリルを配布する事業ではなく(算数ドリルは、3月に配布済み)、 学校の状況や実際に子どもたちがどのように算数ドリルや絵本を活用しているか、 日本のスタッフが確認して、 いつもご協力していただいている皆様に伝える必要があるのではないかと思い訪問しました。


=3校の訪問、大切な「自分たちのドリル」=算数ドリル
 CALOが支援している学校は5校ありますが、今回、リマ市の北部と南東部にある学校3校を訪問しました。 インデペンデンシア地区とコマス地区にある学校、それとマンチャイ地区にある学校です。
  実際に教室に入って、算数ドリルと絵本を使っている授業に参加することができました。 算数ドリルの場合、先生方が色々と工夫して教材を使ったりしています。 子どもたちは学年が始まる当初にもらった算数ドリルにカバーをつけて、とても大切に自分たちのドリルを使っています。 ペルーの公立学校では政府が無償で教科書を配布しているのですが、それが自分たちの教科書になるのではなく、 使いまわしで学年が終わった後、次の学年に教科書を渡さなければならないのです。 そのため、CALOのドリルを自由自在に使っている印象がとても強かったです。 子どもたちに「算数ドリルを持っていますか」と聞くと、みんな引き出しから自分の算数ドリルを取り出し、 嬉しそうに見せてくれました。


=絵本を使った授業も=
 絵本も授業に取り入れられ、一つの教材として活用していることを知り、とても興味深かったです。 今回は、「おおききなかぶ」と「おりづるの旅」を使った授業に参加しました。 低学年の可愛い劇や、戦争や平和について考える高学年の願いや感想も聞くことができました。
CALOが支援しているこの二つの学校は、学力テストで上位を獲得したり、学力の向上に励んでいるため、 教育委員会ではモデル学校となって、校長先生たちが研修に出たり、 育委員会から訪問を受けたり大変忙しくしています。以下にそれぞれの学校の活動を報告します。



インデペンデンシアの「アルベルト・ウルタド」学校(EPM3050) インデペンデンシアの図書館


  ペルーの公立学校には珍しく、図書室を設置しています。そして図書係の先生も雇い、子どもたちが自由に絵本を借り出しています。 その中でCALOの絵本はとても人気があります。今までにCALOから寄贈された絵本が揃っていて、 図書係の先生から、もっと数があれば助かるというコメントを頂きました。 CALOの絵本は教訓がとても良く、授業の中でも活用しています。学校から絵本を持ち出す時は、 責任を持って絵本を返すために保護者の身分証明書を一旦預かるということまでしています。
 手芸、スポーツ、ダンス等、様々な活動を放課後に開いているため、地域ではとても人気のある学校です。 そのため、空きの教室がなく、現在図書室の中に、校長先生のデスクとスクールカウンセラーのデスクが同居しています。
  この学校の近くのメイン道路には、大きなモールなどが出来、10年前に比べると町の景気がよくなっているように見えます。 しかし、先生によると、学校の中の格差が大きくなっているそうです。 さまざまな地域の子どもたちが通っているため、放課後のクラブに残る子どもたちの中でお弁当を持ってこない、 教材を買うお金がない子どもたちがいるとのこと。そのため、 政府が配布している朝食は学校の中で確かに食べるように先生方が確認しているそうです (必要な栄養補給だから)。


コマスの「ビゴスキ」学校(Colegio2072  USE 04)

コマスの校長先生  コマス地区の学校では、算数の学力が上位であって、3年連続表彰されていますと校長先生が嬉しそうに話してくれました。
 勉強以外に、放課後のクラブを定期的に開いたり、そのためのボランティアのサポートを校長先生自ら探したりしています。
 3年ぶりの訪問だったのですが、学校の周りはあまり変わっていなく、未だに道路も舗装されず、 子どもたちの制服や教材などにも格差を感じました。 新しい住人が多く、経済的に困っている家庭が多いそうです。
  しかし、そんな状況の中、一生懸命先生たちが指導して、算数ドリルと絵本をうまく活用しています。 子どもたちも真面目に取り組んでいるため、学力テストで「最もよく伸びている学校」として表彰されています。 今回も訪問してCALOが配布している支援が確かなものとなっていることを改めて実感しました。 今後も絵本と算数ドリルの寄贈が、不可欠なことではないかと強く思いました。



マンチャイ地区の「ビルヘン・デル・ロサリオ」学校 ( Colegio Virgen del Rosario)

=基本的なしつけ、価値観を育てている・・・日本のお祖母さんの影響?=
  この学校はこの3校の中で唯一の私立学校です。私学と言っても、学費がとても安く、カトリックの神父さんが様々な所から支援を求めたりしているため、 色々な奨学金もあります。この地区に行くたびに、新しいお店ができたり、きれいになって町の雰囲気が変わっています。 道路が整備されたり、学校の外と中はとても綺麗で、子どもたち自身の制服や髪型がきちっと整っています。
 この学校の特徴は、学力だけでなく、子どもたちと保護者の良い価値観を育て、 基本的な「感謝の心」を小さい時から身につけるようにさせています。 「貧困=汚い」というのではなく、身を整える、社会のルールを守る、規律、しつけを大事にしている学校です。 学校の壁や教室の中では様々なメッセージが書いてあります。 その中で「no exijas tus derechos si nocumples tus deberes」 (自身の義務を果たさない場合、自身の権利を要求しないで) また、「Ser Rosariano esser mejor cada día」(ロサリオ校の生徒であることは、毎日最善を尽くすことです)は、 とても印象的でした。学力と人間性の二つの側面に力を入れている学校です。 20数年前に私財を投げ打ってこの学校を創設したホセ・チュキヤンキ・山本神父さんは日系3世の方です。 神父さんはよく日本人のお祖母さんの話をして下さるのですが、 この学校の精神には昔の日本の教育を受けた日本のお祖母さんの影響が大きいに違いないといつも思います。

=中等教育5年生と話す=マンチャイの中等教育生
  教室の訪問以外に、中等教育5年生の子どもたちと面会することができました。彼らは小学校の時、CALOの絵本や算数ドリルを使って学習していました。 中には算数が苦手だったけれど、ドリルでは色々な例文や絵がたくさんあって、算数が好きになった話や、 小学校の弟と一緒に算数の勉強をしている話をしてくれました。 彼らは年月がたってもCALOの活動をとても身近に感じていて、素直な感謝の気持ちをあらわしてくれました。 彼らはこの12月、卒業してそれぞれの夢を追いかけます。工学部、心理学部、教育部などの様々な進路を目指し自信に溢れていて、 彼らの輝いている未来を楽しみだと思いました。自分たちの専門職を持ったら、母校のため、マンチャイのため、 そしてCALOの活動のために役に立ちたいと話してくれました


(次号では、難関大学に進学した子どもたちのインタビューをお伝えします。)




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