Amigos No.111-1
2015年9月

絵本を持って学校訪問

絵本を持って学校訪問

 8月26日から、CALOのメンバーがドリル配布をしているリマの小学校を訪問しました。
 これは1カ月前くらいに突然決まった(オチャンテ カルロス、ロサ兄妹は里帰り、前田航は大学のあるトルヒージョからリマへ行き合流した)のですが、 訪問した3つの学校ではいつものように大歓迎してくれました。日本から持って行った翻訳絵本30冊を配布しました。
 学校訪問は初めてだという前田航さんにレポートしていただきました。。



子どもたちの喜びを伝えたい

- 貴重な経験をありがとう! -

前田 航

 Amigos NO.109掲載の「はじめまして! 前田航です!」に書いてもらいましたが、彼はペルーの大学で勉強していました。 卒業するために翻訳、通訳をして単位をもらう必要があり、CALOで何かさせてほしいと数冊の絵本を翻訳しました。
 そして、ペルーに滞在している間に一度CALOのドリルを配布している小学校を訪問したいということで、この度、ロサ、カルロス、 現地のジャネットと共に小学校を初めて訪問、絵本配布などをしてくれました。これはそのレポートです。

皆様、こんにちは。今回は二日間(8月26日、27日) の日程でCALOが支援しているペルー、リマ市にある小学校の中から3つの学校を訪問する機会が与えられましたので、 レポートいたします。



- インデペンデンシアの小学校へ (EPM3050) -

 8月26日朝、まずはインデペンデンシア地区にある小学校に向かいました。 到着すると先生方が笑顔で出迎えてくださり、胸にBIENVENIDO(ようこそ!)と書かれた子どもたち手作りのバッチをつけてくださいました。 小学校の図書館へと案内され、朝食を頂きながら先生方とお話ししました。


=子どもたちに人気: CALOの絵本=図書室
 このインデペンデンシアにある小学校では現在1クラス30人から35人ほどで、全体では723人の子どもたちが学んでいるそうです。 図書館には日本から届いた絵本がきれいに並べられていました。一冊ごとに番号を付けて、無くならないようしっかりと管理されています。 早速絵本について聞いてみると、ものすごく役立っているとのこと。 子どもたちの下校時間は1時頃なのですが、絵本を読むために学校に残って、家に帰りたがらなくて困っているんですと先生方は苦笑い。
 読み書きを学ぶためのクラスでは絵本を教室で読み聞かせしているそう。 子どもたちに一番人気のお話はどれですかと聞いてみると先生方みなさん口を揃えて、「全部!!」だそうです。 日本の絵本はどの作品もイラストが大きく描かれ、 たくさんの色が使われていて本当に素敵で子どもたちの創造力を育てるためにも本当に役立っているそうです。 またスペイン語訳を上から貼り付けることなく日本語部分をそのまま残していることも素晴らしいと。 子どもたちは見たことのない日本語の文字にいつも興味津々で楽しそうに読んでいるそうです。


=親たちも絵本を借りに=
 最近では両親が身分証明書を持参した際に限って貸し出しも行っていて、絵本を家で読み聞かせしたい親御さんにも大変喜ばれているとのこと。 教室での絵本の読み聞かせの時間が先生方にとっても子どもたちにとっても本当に大切な時間で、 できることならこれから1つの作品をクラス全員分(30冊から35冊ほど)教室に持って行き、 グループワーク等に役立てていきたいので今図書館に数冊ずつ置かれている作品の数を増やして頂けたら嬉しいですと仰っていました。


=絵本の読み聞かせを楽しむ=
 その後、図書館を出て授業中のいくつかの教室に案内されました。 ある教室に入ると子どもたち手作りの日本とペルーの国旗を振りながらの大歓迎を受けました。 「CALOの人たちだ!!」と子どもたちは大喜び。私たちが日本という遠い国から来た、算数ドリルと絵本をいつもプレゼントしてくれる人たちだと、 子どもたちもみんなよく知っているのですね。先生方もいつもCALOのことをお話ししてくださっているのだなと感じました。 同行してくださったジャネットさんの「わたしのワンピース」の読み聞かせが始まると、子どもたちは一生懸命聞き入っていました。 お話が進んでいく中で「すごーい! わぁ! これはなんだろう!? わたしもあのワンピースほしい!」 と子どもたちが見せるリアクションが本当に可愛いです。

読み聞かせ



=自分専用の算数ドリルを喜ぶ=
  子どもたちのリクエストに応えて日本語でも少しだけ読み聞かせをさせて頂きました。
 その後はまた他の教室へ移動し同じく大歓迎を受けました。CALOの算数ドリルでお勉強中でしたが、一時中断して子どもたちとお話ししました。 「私の算数ドリルは黄色なの。ほかの色も持ってるんだよ。」とある女の子は笑顔で話してくれました。 またある男の子は「表紙の虎の絵を家で弟と一緒に描いたよ!」と話してくれました。 教室全体を見渡し一人一人が自分専用の算数ドリルを持っているのを見て、図書館である先生が仰った 「算数ドリルのコピー代さえも出せない親御さんもいるんです。」という言葉が思い出されます。(ペルーではコピー1枚約3円) 自分専用の算数ドリルがあれば自由に好きなだけ書いていっぱい足し算の練習ができますね。 一見、当たり前に思えることが本当に感謝すべきことなのだと改めて思わされました。


=「おおきなかぶ」の劇=
劇 次に案内された教室では今度はみんなが大好きな作品「おおきなかぶ」劇場のはじまりはじまり。
 担任の先生のナレーションに乗せて、子どもたちの可愛い演技が続きます。おじいちゃん、おばあちゃん、犬、猫、ネズミのお面、 そしておおきなかぶも全部子どもたちの手作り。本当に短いお話ですが、最初から最後まで本当によくできていて、 子どもたちの創造力と演技力に感動。地球の反対側にある言葉も文化も全く違うこの国で、 日本の絵本が大好きな気持ちをこんな素敵な形で表現してくれる子どもたちがにたくさんいることをもっとたくさんの方に知って頂きたいですね。

インデペンデンシアの小学校にて



コマス地区の小学校へ(Colegio2072  USE 04)


=活用されているCALOが寄贈した教室=
ようこそ  インデペンデンシアを後にして、今度はコマス地区にある小学校へ。 入口を抜けたところでは「CALOのみなさん、ようこそ!」と書かれた巨大なポスターがお出迎え。 そして校長先生がご挨拶してくださり、奥のほうへと案内されました。
 この小学校の約半分に当たる一部の建物、一階と二階の部分はCALOの寄付金によって建てられました。 校長室、倉庫、そして教室として有効活用されています。 この小学校はコマス地区では唯一の国立の小学校で335人の子どもたちが学んでいて、最近人数が少しずつ増えてきているそう。


=算数ドリルで学力が伸びた=
 CALOの絵本は読む力を伸ばすために本当に役立っているそうで、 そして算数ドリルに至ってはなんと2012年から3年連続で算数の学力が最もよく伸びている小学校のひとつとして表彰され、 本当に感謝していると話してくださいました。その一方で、生徒数の増加に伴って4年生の算数ドリルが足りなくなっているそうです。
 少しお話した後はまた絵本を持って子どもたちのいる教室へ。日本とペルーの国旗を振りながらの大歓迎。子どもたちは元気いっぱい。 この教室では絵本の読み聞かせをした後に絵本の作者に子ども達からお手紙を書いてほしいんですとお願いすると、 子どもたちは快く受け入れてくれ、担任の先生もすぐに全員分の紙を用意して配ってくださいました。。


=絵本作者に手紙を=
 ゆっくりと手紙を書く時間も取れなかったにも関わらず、メッセージに加えて、可愛いイラストも添えてくれた子どもたちも多く、 本当に素敵なプレゼントになりそうです。その後別の教室でも同じようにお願いして、合計2クラス分の心のこもったプレゼントが出来上がりました。
 その頃丁度下校の時間となり、一斉に教室から子どもたちが教室から出てきました。 そこからは本当にたくさんの子どもたちに囲まれて「日本語で私の名前を書いて!」「サインして!」「一緒に写真撮って!」とお願いされました。 本当にこのエネルギーはどこからやってくるのだろうというくらい子どもたちは元気いっぱいです。 たくさんの子どもたちの笑顔に見送られてこの日の小学校訪問は無事終了。

コマスの小学校にて




マンチャイ地区の小学校へ( Colegio Virgen del Rosario)

上級生と

 そして2日目、8月26日の朝はマンチャイ地区にある小学校へと向かいました。 この日同行してくださったルイサさんが小学校に到着するまでの間、 マンチャイ地区の風景を見ながら「10年ほど前にマンチャイを訪問したころは本当に何もなかった。 地区全体が砂漠のような場所だったが今は本当によくなってきたのよ」と話してくださいました。 小学校の隣には大聖堂。そしてその目の前には大きな広場が完成していました。 砂漠のようで何もなかった、水道すらもなかったことが想像できないくらいです。。

=算数ドリルで学んだ上級生と話す=マンチャイの小学校にて

 この学校には小学校から中学高校までがあり、1450人の子どもたちが学んでいます。中へ案内されると、 校長先生が小学校時代にCALOの算数ドリルで学んでいた4人の高校生を紹介してくださり、校長室でお話を聞くことができました。 ヘンリーくんはお兄ちゃんのマテオがCALOの算数ドリルのお陰で数学に興味をもち今は大学に通うことができているんだと話してくれました。 レニー君は5歳の弟に自分が使っていた算数ドリルを使って教えてあげたいと。


=算数ドリルで算数好きに、大学にも!=
 ロシオさんは小学校時代、最初は算数が得意ではなく、できないことが恥ずかしいと思っていたが、算数ドリルのお陰で少しずつ克服し、 今は好きな科目の一つになったと。アリアナさんはよく妹と勉強をするそうで、 わからない時にはCALOのドリルを何度も読み返すようにしていますと話してくれました。 何もなかったころは暇な時間に算数ドリルを開いて勉強することがおもちゃで遊ぶように感じられるほどに楽しかったそう。
 ヘンリー君とレニー君はこれからできることなら算数系の知識を生かして大学にも行きたいと。 ロシオさんとアリアナさんは絵を描くことが大好きで日本の漫画にとても興味があってもっともっと日本のことを知りたいですと嬉しそうに話してくれました。


=この地区を良くしたい=
 その他にも4人に共通していたこと、それはここまでよくなってきたマンチャイ地区をこれからももっともっと良くしていきたい。 そのためにはまず私たちがお世話になったこの学校を良くしていきたいんだと力強く話してくれました。


=CALOの活動にも協力したい=
 この支援はすべて協力してくださる方々の寄付金によって成り立っていること、そして日本という国はとても遠く、 定期的にマンチャイ地区を訪れることが難しいことを4人に説明した後、もしできたら算数ドリルと絵本の配布活動等に協力してくれないか、 と言うと「もちろんです!」と4人とも笑顔で答えてくれました。 そして授業中にも関わらず来てくれた4人と記念写真を撮ってお別れしました


=絵本は特別なプレゼント=
 その後はいくつかの教室へ案内され、他の小学校と同様に算数ドリルを使って一生懸命勉強している子どもたちの様子を見ることができました。 そして先生方も喜んでくださっていること、絵本も図書館でしっかりと管理され、 本当に役立てられているんだということを今回の小学校訪問を通して確認することができました。


 絵本をプレゼントする時の子どもたちの喜びようは想像以上でした。彼らにとっては本当に特別なプレゼントなのですね。 僕にとっての最初の小学校訪問は無事に2日間の日程を終了。素敵な経験をさせて頂き心から感謝しています。 写真とレポートを通して少しでも、雰囲気だけでも皆様に伝えることができれば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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