Amigos No.105-3
2013年12月


“La Navidad en Perú”  ペルーのクリスマス

ロサ・オチャンテ

ペルー風の馬小屋スペインから伝えられたキリスト教

 15世紀のアメリカの征服と同時にラテンアメリカでの宣教が始まりました。スペインの植民地となったペルーでは、 キリスト教の伝道は、インカ帝国の宗教、太陽、大地、山等の神々をキリストとその母、聖母マリアに関連づけることで信心が広まりました。 こうして原住民の間に親近感をもたせ、キリスト教は広まっていきました。 1586年にはペルー、そしてアメリカ大陸初となる聖人、リマの聖ローサ(Santa Rosa deLima)が生まれました。 聖母マリアの出現(1531年のグアダルーペの聖母:メキシコ)という奇跡ももあり、カトリック信仰が原住民の間に広まり、 現在では国民の大多数を占めています。2007年の国勢調査によると、ペルー人口の81.3%はカトリック教徒とみなされています。 そのため、ペルーの大きなお祝いや祭りはカトリック教会と関連しているものが多いのです。 その中で最も大きなお祝いはキリストの誕生であるクリスマスです。 スペイン語ではクリスマスを“Navidad” (ナビダー)と言い、その語源はラテン語のNativitas(誕生)からきています。

ペルー (南米)独特の祝い方もペルー風の馬小屋

 スペインから受けついだ伝統的な祝い方や、他の移民国からの伝統が混ざりあい、ペルー独特なお祝いの仕方になっています。 クリスマスキャロルでは、スペインから伝わった伝統的なものもあれば、アンデスのフォルクローレのリズムのクリスマスキャロルもあります。
12月になると、家をデコレーションします。多くの家庭では、クリスマス飾りとして、馬小屋と聖家族の人形の小舞台を作って、 クリスマスツリーを飾ります。また、地域の教会では、最も美しい馬小屋を競い合うイベントもあります。
 24日のクリスマスイブ「ノチェブエナ」(良い夜)では、多くの人は主の降誕の前夜ミサに家族が揃って出席します。 このミサのことをスペイン語では“Misa de Gallo”と言います。  直訳をすると、鶏のミサ(古代ローマでは、深夜や一日のはじめのことを鶏が鳴くと呼んでいたからです)という深夜ミサのことです。 現在ペルーではこの「ミサデガジョ」は24日の夜10時ごろに行われ、ご降誕の劇があったり、 クリスマスキャロルを歌ったりでにぎやかに聖なる夜を過ごします。

富士山のイメージの馬小屋 クリスマスは家族とともに  「ペルーのクリスマスは真夏です!」

 ミサ後、家では家族で食卓を囲みます。七面鳥を食べるのが最も定番ですが、最近はオーブンで焼いた豚肉や鳥肉を食べます。 サラダやマッシュポテト、スペインのパエーリャ的な炊き込みご飯など、家庭によって変わります。 しかし、どんな家庭でも、パネトン(イタリアの伝統的な菓子パン)とホットチョコレート(熱いココア)を食事の後に頂きます。 12時になると、その年家族の中で選ばれた人、または子どもたちが馬小屋にそれまでは隠していたイエス様の赤ちゃんの人形を置きます。 そして、外へ出て、近所の人に挨拶したり、抱擁しあったりして、キリストの誕生を祝います。 また南半球なのでクリスマスは夏であり、子どもたちは外で花火を上げたり、プレゼントを交換したりしています。 家庭では、Papá Noelパパノエル(サンタクロース)がプレゼントを持ってくると子どもたちに伝える家庭もあれば、 親や祖父母たちが直接渡したりする家庭も多いです。
この季節になると、クリスマスの商業的な広告が増え、クリスマスの飾りや、プレゼント、ご馳走のことばかりを考えることが多くなっています。 しかし、クリスマスの本来の精神に戻り、チャリティーなイベントを企画したり、 困っている人と分かち合ったりする場面と機会が増える時期でもあります。
南米やペルーのクリスマスは、基本的には家族と一緒に過ごすお祝いです。日本で言うとお正月のような感じです。 遠くにいる親戚が家に帰り、家族揃って皆で仲良く、にぎやかで平和な時を過ごします。 そのためクリスマスは、ペルー人の子どもも大人も楽しみにしている、大切なお祝いの一つです。



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