Amigos No.84-1
2008年12月

先生方の分もあれば・・・算数ドリル

現地スタッフによる配布校訪問記 NO.3

 現地スタッフ・ドゥリック(Drick)さんの算数ドリル配布校への訪問記の最後の学校です。この学校はやはりとても貧しい地域に建っている小学校ですが、子どもたちの在籍数が多く、日本からのCALO会員の訪問時には全校児童たちが校庭に集まり、歌やダンスなどでまさに「熱烈歓迎!」してくれる学校です。その様子に保護者や近隣の人たちも興味津津で集まって来たりする暖かな雰囲気です。先号でお伝えした「NGOソリダリティ・ペルー」の人たちにCALOの存在を伝えたのもこの学校のマヌエル・タサイコ校長でした。  「現地スタッフによる配布校訪問記」は今回で終わります。

EPM3050 アルベルト・ウルタード・アバリージャ・デ・インデペンデンシア小学校

5月29日(木)に訪問。マヌエル・タサイコ校長に迎えられました。先生方へのCALOの算数ドリルについてのアンケートにもとても協力的な対応をしていただきました。そして、政府から支給されている参考書とCALOの算数ドリルを併せて使っているので、算数ドリルのスーパーバイザーであるオルテンシア・デル・カスティージョ副校長と連絡が取れるよう取り計らってくれました。 算数ドリルは保護者に入学・進級手続きの時に配布され、CALOが毎年寄付しているのだと伝えていることも話してくれました。

ドリルのイラストに興味を持つ子どもたち

インタビュー

カルメン・アンティコナ先生 2年A組担任

私は長年CALOの算数ドリルを長年使っています。唯一気になるところは、政府に配布されている参考書と、CALOの算数ドリルのカリキュラムのちょっとした違いです。子どもたちがイラストに興味を持つので、授業がとても進めやすいです。 入学・進級手続きの時に算数ドリルが配布されることが問題です。何故なら、授業が始まる時期には何人かがドリルを無くしていたり、学校に持って来なかったりするからです。その上、教室に本棚がありません。本棚を設けることで、教材の紛失を防ぐことができ、私たちがより良く教材を扱うことが出来るかもしれません。今年の算数ドリルは子どもたちだけに配布され、私たちには配布されませんでした。子どもたちも先生も全員がドリルを持っていたら、授業がより良く出来るのではないかと思います。

大した問題ではない カリキュラムの違い

インタビュー

ルイス・ビダル先生 1年A組担任

この学校に10年間勤務しています。ですから、CALOによるドリルの配布が始まったときから算数ドリルを使っています。以前、3年生と4年生を担当していた際には、学年の始めから算数ドリルを使っていました。私にとってカリキュラムの違いは、大した問題ではありません。各先生方は、カリキュラムに応じて教材をより適切に使う責任があると思います。ただし、1年生だけは2か月間導入期間を設け、算数ドリルを使い始めます。 授業をする時に留意しなければならないことは、たとえば、割り算のやり方です。CALOの算数ドリルでは左から右へやっていくのに対して、ペルー政府のカリキュラムでは右から左へと展開されていきます。でも、これは大した問題ではなく、こういうやり方もあるのだと説明しているので、特に問題はありません。お金の単位として「円」が使われるところもありますが、こちらも特に問題はありません。 先生用の算数ドリルをもっていないので、配布してほしいと思います。授業の準備をする時に事前に内容を把握でき、より良い授業が出来ます。 子どもたちにも一斉にCALOの算数ドリルについてのアンケートを行いましたが、彼らは算数ドリルに満足しています。「もっと難しい問題と、塗り絵をする為に挿絵が欲しい。」との声もありました。

ドリルの数の不足に困っている 絵本、もっとほしい…

インタビュー

グロリア・ソニア先生 1年B組担任

私の教室には、教材が保管出来る本棚があります。ルイス先生と同じように、政府により配布される参考書との内容の違いについて、算数ドリルの扱いを工夫しています。 本が不足しているので困っています。生徒一人につき、一冊の算数ドリルがありません。 十分な算数ドリルがあればいいのにと思っています。 私は絵本を3年生と4年生に使っていました。絵本の絵が子どもたちの興味を引き付け、読書への興味を高めています。できれば国語に関する教材としての絵本を増やしてほしいです。

「算数ドリル」のチェック始める

最初の「算数ドリル」を翻訳して、ペルーの子どもたちに配布を始めてから13年以上の年月がたちました。その間、小さな翻訳ミスなどを指摘されたり、気づいたりしていましたが、時間的また経済的に折り合いがつかず、手つかず状態でした。気にはなりながら長年の懸案となっていました。 スペイン語中級のメンバーに協力をお願いして、やってみようと言ってくださる方にそれぞれ1学年ずつのスペイン語版ドリルと日本語のオリジナルドリルをCDに入れたものを渡しました。スペイン語を勉強している者にとってもこの作業はなかなか難しいものでした。いくつかの疑問をチェックできてもそれ以上は無理です。 そこに、CALO会員の若者たち(おもにペルーの人たち)が自分たちでチェックをしようと言ってくれました。今までに二度の集まりをもっていますが、隅々まで調べるのはなかなか大変です。ペルー人同士でも意見が分かれたりします。次の新学期(3月末〜4月)までに配布するためにはできれば12月中に、遅くても1月には発注しなければなりません。今回は2学年1冊だけの「改訂版」になるかもしれません。それでも前進だと考えています。「改訂」するにはこのような時間と労力、そしてある程度の資金も必要です。(見積もりでは1ページの差し替えに約10ドルかかります。毎年少しずつ取り組んでいくことも考えています。


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