Amigos No.83-1
2008年10月

算数ドリルと絵本を追って

現地スタッフによる配布校訪問記 NO.2

先号から、ペルー、リマの現地スタッフによる、CALOの算数ドリル配布校の訪問記を載せています。スペイン語で送られてきたドゥリック・パハレスさんの報告を日本語に翻訳しています。有効にドリルを使っている学校や、問題のある学校もあります。あと1校残っています。次号でお伝えします。 これらは今後の配布計画の参考にしたいと思います。(先号にリック・パハレスさんと書きましたがDrickさん、ドゥリックさんの間違いでした。お詫びして訂正いたします。

ビルヘン・デル・ロサリオ校(マンチャイ)

5月30日、校長のシスター・ベティに迎えられました。校長はCALOのことをよくご存じでした。ドリルや絵本の使用に関する全体的なデータを提供してくれました。また、現在それらを使っている先生に話をうかがう機会を与えてくださいました。(ドゥリック)

インタビュー

ロシオ・マルティネス先生 1年A組担任

アナ・マリア・パレハ先生 1年B組担任

CALOのドリルは他の教材と並行で使っています。その教科書とはサンティジャナ出版のもので各自負担になっています。サンティジャナ出版の教科書の方がペルーのカリキュラムに合わせて作られているのでズレがないのです。しかし、CALOのドリルは多様な練習問題があり役立っています。また1年生たちはこのドリルに入っている挿絵をとても喜んでいます。 CALOのドリルは政府が提案するカリキュラムの内容より少し進んでいます。CALOのドリルは5月から使われ始めるということですが、問題なく使えるのでとても役立っています。私たち二人とも2年や3年のドリルを使った際には、同様に5月から使いはじめて問題なく12月に終わります。 一つ問題だったことは日本の円を使った練習問題です。ペルーで使われる単位ではないので価格の混乱が起こります。ペルーの単位をつかった練習問題にするのはどうでしょうか。もしくは、いくつかの国の貨幣単位についての情報を子どもに提供したりする方がいいのではないかと思っています。  この学校には図書室があって、どの学年の子供でも面倒な手続きなしで入れます。彼らは自由にそこの本を使うことができます。この図書室にもCALOが寄付した絵本が置かれています。特に、1年生から4年生までの子どもが興味を持っているようでした。休憩のとき2年生の子どもたちが寄り道せずまっすぐに絵本のところに行って、みんなで読んでいました。このことから先生たちが冊数を増やすことができれば、クラスでの授業がより効果的になると言っていました。 しかしながら、先生の一人は絵本の存在について知りませんでした。寄付に関する情報は新しい先生にすぐに行きわたらない。しかし、算数ドリルのことは全く逆で、どの先生も知っています。なぜなら、子どもたち全員に配られる継続的な活動だからです。 1年生の子どもたちに話を聞いたところ、先生方のインタビューにあったように、挿絵などがとても役に立っていて授業が楽しいと話してくれました。ドリルを開いて問題をやってみてくれました。見ていると挿絵に色が塗られていたり、とても丁寧に扱っていることがわかりました。 最後に二人の先生からの要望で、高学年のドリルについて、先生のための指導書がほしいとのことでした。なぜなら、場合によって、計算の仕方がペルーの方法と少し違うからです。そして、子どもたちの要望としては「ぬりえ」するための挿絵を増やしてほしいということでした。

公立小学校 2039 ホセ・カスティージャ校(インディペンデンシア)

確かに手渡したドリルが子どもたちに届いていない?

今回の訪問の日時は事前に確認済みでした。5月23日、学校に着いて、教頭であるマヌエル・タサイコ先生のところへ直接行きました。私が持っていたデータでは彼が窓口になっていたからです。最初、教頭が私の持って行った紹介状を見て、訪問者を受け入れるかどうかは校長先生の「権限」だからとそれは受取れないと言いました。今日は子どもたちに成績を渡す日なので、アンケートに答えたりできないと言われました。また、今年はまだ、CALOからの算数ドリルも配布してくれていない。今年は配布してくれないのではないかと彼は不満そうでしたが、私が調査をしないと帰らないということがわかったので、彼は通知表の配布が終わった5年生のクラスに私を行かせてくれました。

インタビュー アントニオ・トレス・ラキ先生 5年生担任

今年CALOの本が渡されなかったが、以前に使ったCALOの本はとても役に立ちました。なぜなら、政府が配布しているものは参考にはなるが、練習にはつながらない。また、政府が提案するカリキュラムには載っていない項目がCALOの本にはいくつかあり、例や練習問題を使えるように工夫しました。ドリルに満足していたのに、今年は配布されなかったので驚いています。

インタビュー ネリー・ゥアマン先生 2年生担任

今年はCALOからドリルを配布しなかったのですか。一番残念がっているのは子どもたちなので心配です。昨年、1年生のクラスを受け持ちCALOのドリルを使用しました。しかし、冊数が子どもの人数分に足りませんでした。たとえば、20人のクラスに6冊しかなかったので授業の効率が悪かったと思います。 中庭にいた2年生の子どもたちに話を聞きました。今学期はドリルが配布されなかったことや冊数が不足していたと言いました。昨年、授業で見た絵本がすごく面白かったと興味深そうに話してくれました。 クラスではドリルの見本もなく、先生も持っていなかったので、これ以上の情報は得られませんでした。 再度教頭に会い、ドリルの配布には校長が直接かかわっていると聞きました。校長が不在だったため、改めて電話で話を聞くか、直接話すためにアポをとるように教頭は話しました。 昨年まではCALOのドリルは使われていました。しかし、配布がちゃんと行われていたのかどうか疑問が残ります。または、各クラスにどれくらいのドリルを配るのかという時の数え間違いをしているのか、そうでなければ担当者の不正の可能性もあります。なぜなら、ドリルの配布や受け取りについてどの先生も知らなかったからです。 担当にあたっている者の明らかな状況の認識不足のためか、この学校では知りたかった情報が得られず非常に残念でした。 (ドゥリック・パハレス) (注)文中で今年のドリルとあるのは、昨年学校に届けて今年配布、使用されるドリルのこと。

配布したはずのドリルはどこへ?

インディペンデンシアのホセ・カスティージャ小学校についての報告をもう一つ送ります。ゴンザロと私はもう一度この学校に行って、算数ドリルを子どもたちに配るか、返還するように頼んできます。  今後この学校に配布するべきではありません。この件は非常に残念です。というのも、この地域はとても貧しいからです。それにもかかわらず、校長が不正を行っているかもしれないからです。もし、校長が代わるなら再び配布することを考えることも可能ですが。  この校長と電話で話しました。彼はもうすでに子どもたちに配ったと言いました。来週もう一度行ってCALOのドリルを子どもたちが受け取ったかどうか見てきます。ジャネット(現地スタッフ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  一人ひとりの子どもたちに手渡すというのが理想ですが、何年も続けてドリルを贈っている学校に関してはもう信頼していました。貧しい地域の子どもたちに算数ドリルを贈るのがCALOの目的です。しかし、この報告にあるように、確かに人数分手渡したドリルが子どもたちに届いていないというのです。ペルー人である現地スタッフたちは「不正」を疑っています。  残念ながら、1冊でも有効に子どもたちに役立てるためには不正のあるところには配布しない方がいいのでしょうか。(梶田)


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