Amigos No.82-1
2008年8月

算数ドリルと絵本を追って

現地スタッフによる配布校訪問記 NO.1

 今年は算数ドリル配布のためにCALOからペルーに行く予定が立たないということや、日本から訪問した際の歓迎ムードの学校ではなく、普段の授業がどのように進められているのかを日本の協力者の皆様に伝えるために、今回現地スタッフに配布校への訪問を依頼しました。(梶田)。

今回の学校訪問はCALOが無償で配布しているドリルや絵本の使用状況を知るためです。各学校にCALOの協力者である自分が訪問することを事前に電話で通知し、ドリルや絵本に関する先生たちの意見などを聞こうと計画しました。はっきりした日にちを決めないようにしたのは、訪問のために用意されたものではなく、普段の使用状況を見たかったからです。(リック・パハレス:現地協力者)

公立小学校 2072 ウセ04校(コマス区) 成績が向上 教育省から認定!

訪問した日(5月19日)は校長のアリサガ・アリソラ・ローサが休暇だったため、校長不在時の責任者である6年A組の担任、ソブラド・バルデラーマ・クリスティアン先生が迅速に対応してくれました。授業は算数ドリルを使って行われていました。クリスティアン先生は算数ドリルが学習するのにとても良い教材になっていると話してくれました。この学校では、参考書としてペルー政府が配布している教材を使っているようです。しかし、政府が配布した教材は年度末に政府に返却しなければなりません。配布される教材はあくまでも、参考書なので、直接、書き込んだりすることはできないのです。そのため、CALOの算数ドリルは授業や課題を進めるのにとても役立っています。日本とペルー、それぞれの国のカリキュラムの違いがあるため、CALOが配布している算数ドリルの最初の課題の部分はペルー政府の教材と合っていないということもあります。 そして、この学校は障害児(例えば、知的障害を抱えている児童)の受け入れを最初に取り入れたコマス区の小学校です。現時点では、19人の障害児が在籍しています。 このほかに、この学校は教育省が様々な公立学校に対して行った調査の結果に基づき優遇されるという認定を受けています。この認定は他の学校とくらべて国語の読解力や算数のレベルが高い学校に与えられるので、この学校は予算の多い他の国立学校よりも実力的に上であると位置づけられています。それを証明するために、認定証の写真を送ります。(国立小学校の平均の成績と、この学校の比較の表が添付書類で送られてきましたが鮮明でないので省略します。) その表によると生徒の多くは両分野で教育省が進めるレベルにまで達していることがわかりました。子どもたちの算数の能力を向上させるためにCALOは大きな貢献をしていることが証明されています。また、算数の分野では全国平均はレベル2までの達成率が一割以下であるのに対し、この学校の多くの生徒はレベル2にまで達しています。それは大変喜ばしいことであるとクリスティアン先生が話してくれましした。 PTAの集まりにおいても、CALOの算数ドリルについて説明され、これらの算数ドリルが毎年CALOから寄付されていることや、長年にわたってCALOが貢献してくれていることなどが伝えられています。 今回、CALOが資金を提供して建設された2つの教室は、工事もすっかり完了し、きれいになっていました。1階には1年生の教室が設けられており、2階にはパソコンが一時的に保管されています。というのは、その部屋は安全な(鍵つき)場所だからです。部屋の広さからして、近いうちにパソコン室として使われる予定があります。そのために数カ月前、ある私立学校から中古のパソコンが寄贈されました。しかし、それらのパソコンはバージョンが古く、正常作動させるための部品も不足している状態です。先生はそんな状況に不安を示し、CALOに援助を求めていました。

インタビュー ベラ・チョカ・セサル先生 5年A組担任

CALOの算数ドリルを4年間も使っています。本の進み方や課題に関して特に大きな問題はありません。政府から支給されている参考書とCALOの算数ドリルに“ズレ”がありますが、両方ともうまく活用しています。ただし、硬貨を使った練習問題や、割り算の方法(筆算)がペルーと日本では違います。その計算の仕方に関する解説本などがあれば助かります。 CALOの絵本はほとんどの学年で使われています。先生や生徒たちはとても興味を持っています。本のいくつかを、学校行事の劇で子どもたちが演じました。しかし、本の冊数が少ないため授業をスムーズに進めるのにもっと冊数を増やしていただければと思います。

フェ・イ・アレグリアNO.43校(サパジャール) 算数ドリルや絵本を活用

5月27日、訪問日は予定どおり、ミゲル・メンドサ校長(修道士)が対応してくれました。彼は常に協力的で好感がもてました。ルールデス・カスティージョ教頭(実質上、小学校担当の校長)を紹介されました。CALOの算数ドリルや絵本の使用状況を確かめるためいくつかの教室に案内してくれました。普段どおり授業が行われていました。唯一の問題は日本とペルーのカリキュラムの“ズレ”だということでした。

インタビュー マリア・ワルカイヤ・デラクルス 2年A組

政府が新しく提案している課題は、統計データの理解や取り扱いについて学ばせることです。その課題に合わせてCALOのドリルでも同じような内容の問題を取り扱ってくれたらいいのではないかと思います。そして、今よりレベルの高い問題をもっと増やしてほしいと思います。 CALOの絵本をいろんな先生がよく使っています。ただ、子どもたちの数に対して絵本の数が足りないのが現状です。それで絵本をコピーしてファイルに入れ、子どもたちに持たせています。

インタビュー エルサ・デルガド・ファビアン先生 2年B組

CALOの算数ドリルについては他の先生方と同じ考えです。算数ドリルに載っている問題の難易度を上げ、さらに自然、日常生活、人体などに関する文章を取り入れた応用問題を増やしてほしいと思います。 私のクラスではCALOの算数ドリルをよく活用しています。生徒たちは算数ドリルの内容や方法に慣れ親しんでいます。算数ドリルの例文など言語的な問題はまったくありません。欲を言えば、子どもたちは問題と挿絵をふやしてほしいのだと思います。

インタビュー リチャード・パッコ・エスピノサ先生 5年担当

問題の例文にやや難しさを感じたので子どもがより理解できるよう言いかえて教えています。また、日本の計算方法をより明確にするために、先生方に解答本を配っていただければ助かります。


全体的にこの学校は算数ドリルや絵本をうまく利用しているようでした。どちらも授業で頻繁に使っています。すべての学年で挿絵などがとても喜ばれています。1年生を担当しているナンシー・アリエタ先生のクラスに入ると、CALOの仕事をしている人だと子どもたちに気付かれました。子どもたちの一人が「あなたは算数ドリルの人?」とたずねてきました。その言葉はCALOの算数ドリルが子どもたちにとって、ひとつの「価値」となって浸透していることの証だと感じました。

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